「スペシャルティコーヒー」という言葉、コーヒー好きの人はもちろんご存じかと思いますが、そうでない方も最近耳にすることが増えたかもしれません。しかし「なんとなく分かる」程度の方が多いのも、このスペシャルティコーヒー。改めてここで、「スペシャルティコーヒーとは何なのか?」をご説明します。

 英語で書くと「Specialty Coffee」。日本語では「スペシャルティーコーヒー」「スペシャリティコーヒー」「スペシャリティーコーヒー」と様々な表記も散見されますが、「スペシャルティコーヒー」が正解です。何でかって、「日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)」の表記がそうだから(笑)。意味合いとしては、「特別なコーヒー」「専門性の高いコーヒー」といったあたりです。

 「スペシャルティコーヒー」の定義については、上記の協会(僕も会員です)が定めていますが、長いので要約すると…

① 美味しい!

 美味しくて、飲んだ人が満足するコーヒーであることが条件です。「美味しい」ってどうやって決めるんだ?っていうと、「酸味の特徴評価」や「口に含んだ質感」、「風味特性」や「後味の印象度」といった項目があり、アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)ではコーヒーを100点満点で採点する評価基準を設けて、点数が80点以上のものをスペシャルティコーヒーと呼んでいます。

 この図でいうピンク色の部分、世界のコーヒー全体のわずか5%のみがスペシャルティコーヒーと呼ばれます。こうやってみると厳しい条件です。カップ・オブ・エクセレンスというのは、簡単にいうと品評会の入賞コーヒーです。

 なにはともあれ「美味しいことが条件!」というのは分かりやすくていいですね(笑)

② 生産国での管理がしっかりしている

 コーヒー畑での栽培、豆の収穫、製品化にあたっての生産処理、選別といった工程のレベルが高いこと。

 この「選別」というのがわりと重要で、「欠点豆の混入比率が少ない」ことが大切です。「欠点豆」とは、出荷豆の中に混じってしまう「良くない豆」や混入異物のこと。

欠点豆

 生産国ではセンサーや人海戦術でこういったものを取り除くわけですが、クオリティの高い出荷ロットは欠点豆の割合が少ないです。

 スペシャルティコーヒーは良い豆を作る生産者がきちんとした収益を得られるようなサスティナビリティも大切にしているので、生産国に対する技術支援事業も行われています。

③ 適切な輸送と保管

 「トレーサビリティ(追跡可能性)」と表現されることもありますが、きちんとした保管条件で管理されて出荷、輸出入され、店舗まで届く過程が明らかであること。もちろん店舗での保管も大切なので、ベルビーンズでは生豆保管スペースは24時間365日、空調を入れています。

 このトレーサビリティがしっかりしているので、スペシャルティコーヒーは「どこの国のどの地域の、どの農園の豆なのか」まで特定することができるわけです。言い換えれば、各工程を担当する人は自分たちの仕事に責任とプライドを持ってやっている、ということでもあります(雑な仕事するとバレちゃうしね・・・)。

 「From seed to cup」という言葉で表現されたりもする、いわば「美味しさに対する保証」です。

④ 豆の個性を表現する、適切な焙煎と抽出

 いよいよコーヒー屋の出番です。店に届くまで、そのコーヒーに携わってくださった方々にリスペクトをもって豆と向き合います。焙煎前の手選別(ハンドピックとも呼ばれる、欠点豆の除去)、丁寧な焙煎、そして焙煎後も煎りムラがあった豆を取り除くために再度選別を行って、商品が出来上がります。店舗で提供する際は、オーダーごとに挽いてペーパードリップで抽出します。

 日本に入ってくるスペシャルティーコーヒーの割合は、2014年の市場調査では全体の6%前後でした。それが5年後の2019年調査では11%と、ほぼ倍増しています。スペシャルティコーヒーは確実にその比率を伸ばし浸透してきているとはいえ、まだ国内全体の1割しかない「特別なコーヒー」と言えます。ベルビーンズでは、この特別なコーヒーを少しでも沢山のお客様にお届けし、特別な時間を過ごして頂けたらと願っています。

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